深く息を吐いた。

こめかみと、喉の奥がずくずくと痛んだ。

だけどわたしは言葉を続けた。

思いを留めることなんて、もう、できるはずもなかった。



「わたしは朗を、海に連れて行きたかった。海を見せてあげたかった。

朗が見たいって言ったから。わたしが、見せて、あげたかったから……」



きみが、わたしのためのきみなら、わたしも、きみのためのわたしになりたい。


ただそれだけの想いだった。

辛くても進もうと思えたのは、他の誰でもない、きみが隣にいるからなんだ。


きみが隣にいなくちゃ、わたしの“今”なんて、なんの意味もないんだ。



「……その気持ちは、今も変わっていません。

わたしは朗と、海に行きたい」




朗、きみが今どんな想いでいるのか、わたしにはわからないけれど。


わたしは今も、きみとふたりで、青い海を目指すことだけ、願っている。


ねえ、朗、きみはどうかな。

同じでも、同じじゃなくても、どっちでもいいけど。

もしも同じなら、ちょっとだけ、うれしい気持ちになるよ。