テントもグリルも完成して一段落。
明日香とルウコはタイムテーブルを見ながらどのバンドを見に行くか相談中。
ジュースを飲みながら
「時間近くてステージ違うバンドが2つあったら片方あきらめた方がいいぞ」
と幹太が言うと「えええええ!!」とブーイング。
「どれが見たいの?」
ボクは2人の目の前に座ってタイムテーブルを覗いた。
「コレとコレ」
ルウコが指差しているバンドのそれぞれのステージは歩いて10分以上。
「どうしても見たかったらダッシュするしかない・・・」
言いかけて口をつぐんでしまう。
ダッシュなんてルウコには無理な話だ。
そんなボクを見て察したようにルウコがニッコリ笑った。
「ダッシュは無理だからソウちゃんおんぶしてよ」
「はぁ!?」
「だって両方見たいんだもん」
「無理無理、おんぶしたら腰痛めるわ」
「どういう意味!?」
ボクらのやり取りを呆れて見ていた幹太が言った。
「まぁまぁ、そんな夫婦喧嘩みたいな事されても困るんですけど。こっちはフリーなんで」
「あたし彼氏いるもん」
明日香が即答した。