「・・・父ちゃん!!」


ツナミの声で我に返る。


「え?」


ツナミは背中をボクに向けてバタバタ足を鳴らしていた。


「後ろのチャック!!しめれない!父ちゃんしめてよぉ」


『ソウちゃん』はやめてくれたけど、多分ツナミは一生ボクを『父ちゃん』と呼ぶのかな?

そう思いながらワンピースのファスナーを上げてやった。


「今日の父ちゃんカッコイイね」


ツナミがボクを見てニコリと笑った。


「そうか?オレはいっつもカッコイイの!」


「だって父ちゃんさ、いつもTシャツにパンツなんだもん」


「仕事中は違うだろ」


「お仕事の時はそうかもしれないけど、お家じゃいっつもパンツ。幼稚園のミサキ先生が笑ってたよ」


「はぁ!?お前何言ってんだよ!変な事幼稚園で言うなよ」


「あー、また『お前』って言った」


ルウコも『お前』って呼ばれると怒る。変な所が似るもんだ。


「ごめんなさいね、ツナミさん」


ボクは適当に謝りながらYシャツにネクタイを通した。