「ちょっといいか?」


姉貴の部屋をノックして入ると、ソファに寝転んで雑誌を見ていた姉貴が首を上げた。


「何よ、あんたが用事って珍しいじゃん」


ボクはソファのそばに胡坐をかいた。


「金貸して」


「は?何でよ」


眉間に皺を寄せて聞いてくる。

そんな姉貴の指にも高そうな指輪がはまっていた。


「それ、高いの?」


ボクが指輪を指して聞くと「あぁ、コレ?高いわよ」と答えた。


「クリスマス限定だからね」


姉貴が言ったブランド名はボクでも高いとわかるところだった。


「あんた、ルウコちゃんに指輪あげたいの?」


「うーん・・・。何か周りにやたら多いからさ。喜ぶのかなって思って」


その途端に姉貴の目がキラキラした。


「いいわよ!お金貸してあげる!!」


「何だよ、気持ち悪りぃな」


「人の好意をそんな風に言うんじゃないよ」


そう言って財布から3万渡してきた。


「あんた達の年齢ならそれだけあれば充分よ。ロフトとかに可愛いのあるわよ。あ、お金は出世払いでいいよ」


ルウコにメールで余計な事入れなきゃいいけど、そう思った。