「こんな顔だったな。可愛いんじゃない?」
ボクが携帯を返すと、つまんなそうに幹太は文句を言った。
「確かにルウコちゃんみたいにすっげー美人ではないけど、ミサだってかなり可愛いんだからな」
「誰もミサがブスだって言ってねーだろ」
「お前、ルウコちゃんと付き合ってるから目が肥えてるんだよ。もっと反応しろよ!『うわ!ミサ可愛くなったなー』とかさ」
「人の彼女を絶賛しても意味ねーだろ」
まだ文句を言いたそうな幹太を無視してボクは歩き始めた。
そろそろ顧問にサボリがバレそうな感じがする。
「なぁ」
一緒に歩いている幹太に声をかけた。
「ペアリングって高い?」
幹太はちょっと考えて「うーん、まぁ2コだからな。それなりじゃない?」と言った。
「ふーん」
「何、お前もルウコちゃんにあげるの?」
「女の子は喜ぶもんなのかなって思ったから。喜ぶんならあげるし」
「すっげー、喜ぶぞ!!記念にやれよ!」
「記念って何の?」
幹太がボクに擦り寄ってきて小声で言った。
「初めての男記念?ルウコちゃん、またキレイになったよな。絶対やっただろ」
「・・・お前も明日香と同じアホだな」
ボクが冷ややかに見ていると「お前らサボるな!!」と顧問の怒鳴り声が聞こえた。