休み時間になって、同じサッカー部で相方的存在の、中川 幹太(なかがわ かんた)が声をかけてきた。
「ソウ、お前、柏木さんと仲良さそうに喋ってた?」
「え?あぁ、ルウコだろ」
ボクが言うと、幹太はビックリした顔をしている。
「何だよ」
「お前…今、柏木さんをルウコって言った?」
自習中にルウコと話していたら、ルウコって呼ぶのにすっかり慣れてしまった。
幹太はボクの肩に腕を回すと窓側に引っ張った。
「柏木さんをルウコなんて呼んだら誤解されるぞ」
真剣な顔で言う幹太に笑ってしまう。
「幹太、お前が思ってるような子じゃないよ、ルウコは」
「は?」
「全然普通だって。みんなと同じ。幹太もルウコと話してみれば?」
そう言っても「無理」と幹太は赤くなって首を降る。