バンドの演奏が全て終わると、明け方の空に花火が一気に打ち上がった。
夜空に打ち上がる花火もキレイだけど、白みがかったグラデーションの空に打ち上がる花火は何だか不思議だけどすごくキレイだ。
さっきまで汗をかくくらい騒いでいたルウコを見ると、涙をポロポロ流していた。
ボクはルウコの手を握った。
「ソウちゃん…、あたしこんなキレイな花火初めて見たかもしれない」
「結構いいもんだろ?」
ボクが笑いながら言ってもルウコは首を振った。
「こんな事言ったら、ソウちゃんは怒るかもしれないけど…」
「何?」
「あたし、何となく花火を見るのはこれが最後な気がする。もう見れない、時間があんまりない、そんな予感がするの」
ボクはルウコの言葉に何も言えなかった。
この花火がルウコが見る最後だというなら…永遠に終わってほしくない、そう思った。