フェスも残すところは明け方のバンドだけになった。


「あたしテントで2泊するなんて初めてだよ」


少し肌寒い明け方だから、パーカーを羽織った明日香が言った。


「でも本当に楽しかったね」


ルウコもボクが持参したパーカーを羽織っている。

『ソウちゃんの匂いだ』そう言って喜んでいた。


「なーんか夏が終わる気がするよな」


幹太は欠伸をしながら言った。


「お前、夏って今、まだ8月の半ばだぞ。まだあるじゃん」


ボクは幹太の発言に呆れてしまった。


そんな会話をしていると、「あ、始まるよ」と明日香が言った。


このフェスのメインステージのラストはロック好きは結構好きな人が多い人気のバンド。


明け方だから幻想的にいくのかな?と思ったけど、バンドが出てくると同時に大歓声で、曲が始まるとダイブや周りと軽くぶつかって踊るモッシュが始まる。


ボク達もジャンプしたりその場で踊ったりの大騒ぎ。


誰か知らない人が「サークルモッシュしよう」と話かけてきた。

サークルモッシュはみんなで肩を組んで円形になってグルグル回る。


ボクはルウコの身体が心配だったけど、ルウコは先にサークルの中に入ってて、「ソウちゃん早く!」と笑顔で言っている。


ボクは苦笑いしながらサークルの中へ入った。