夜中のシークレトライブも終わり、テントに戻ると明日香も幹太もいかにも風呂上がりな感じがした。

このフェスにはシャワーブースがあって、誰も利用しないこの時間を使って入ってきたらしい。



「あたしも行こうかな」


ルウコがそう言ったから、ボクも行くことにした。


シャワーブースの前で、酔っぱらいにナンパされたら悲鳴を上げるように言うとルウコは爆笑した。


「あたしがソウちゃんより早いわけないでしょ?」


そりゃそうか、と納得してしまった。



5分くらいでさっさと出てきたボクはシャワーブースが見える所に座ってさっきのライブの事を考えていた。



時々…ルウコの病気を知ってから思う事。


2人の思い出が増えるのは楽しい。

そう思いたいけど、ルウコの言葉の意味合いはそうじゃなくて…

何だかお別れ前の思い出を作っているような気がする。


ボクの悪い頭で理解出来ているルウコの病気、ルウコの人生は昔遊んだ黒ひげ危機一髪みたいだ。

不謹慎だけど、おバカなボクの思考回路ではそうとしか思えない。


いつ黒ひげが高く飛んでしまうかわからない。

それはルウコの寿命になってしまう。



ボクに出来ること…


考えているけど、それはボク自身の自己満になるのかもしれない。


そう思うと何が正解で何が間違いかよくわからなくて苦しくなる。


思い出の曲…それはボクとルウコにとって幸せに思える曲なのかな?