「脳貧血ってご存知ですか?」


パニックになっているあたしに医者は淡々と聞いてきた。


「は?脳貧血?」


「三半規管が狂っている上にあなたは自律神経のバランスも崩れている。だから血液がうまく回らない。常にそのような状態にあるので、立ちくらみなどなしにいきなり気絶するという事があります。これも脳貧血にみられる症状です」



「あの!」


あたしはやっと自分から声を出した。


「あたし・・・、あたし・・・、治りますか?治りますよね?」


医者はしばらく黙っていたけど、あっさり言った。


「治りません」



治りませんって・・・・



もう一度、希望を込めて確認した。


「でしたら、死にませんよね?生きていられますよね?」



「それもわかりませんね。次に発作が起きた時に死亡するかもしれません」





絶望ってこういう事なの?


流産した時のあのやり切れない絶望感とは全然違う。


どっちも絶望?



これって・・・、


これが本当の罪?