私は私立なんて興味なかったのだけど、母親の強いすすめで通うことになったらしい。

 らしい、というのは受験時はまだ幼かったので記憶がないからだ。

 今となっては、受験らしい受験もなく大学まですすんでいけるのだから、母親には感謝だ。

 学校までは遠いため、毎朝早くに電車にのらなければならないのが難点だが、長年の通学で慣れてしまった。

「高校生って大変ですね。勉強もむずかしそうだし」

「はは。でも楽しいよ。毎朝の早起きはつらいけどね。特に最近さむいからね」

 電車がホームにすべりこんでくる。風を起こしてとまった電車のドアが開き、私たちは毎朝の定位置に立った。