「あー、もう少し悩んでつけるべきだったぁ。だって、旅行から帰った日にメール出したんだもん」

 やっぱり、といった感じでふたりは顔を見合わせている。

「それを聞きたくて待ちぶせしたんだ。実は昨日から小浜さんもラジオ聴きだしたんだよ。そしたら、カナちゃんらしきメールでしょ。思わず夜中に電話でもりあがっちゃったわよ」

「僕は、そのペンネームの意味知らなかったし、涼子に言われても『えー、ちがうんじゃない?』って言って、それで今日確かめよう、って」
  
 小浜とはあの旅行以来ひさしぶりに会うが、心なしか男らしくなったような・・・。涼子に気持ちを受け入れてもらえた余裕からくるのか。

「でね」
 涼子が興奮気味に話す。

「はい」

 もう聞かれることは分かっていた。