しばらく泣きじゃくったあと、ようやく落ち着いた私は急に照れくさくなりうつむいてしまった。そんな私にお茶を差し出してくれると、涼子もティッシュで豪快に鼻をかんだ。

「うちの父の話は聞いているの?」

 落ち着いたころあいを見計らってか、涼子は尋ねた。

 黙ってうなずく。

「そう。優斗から聞いた?」

「はい。私が優斗をおこらせたから分かったんです。そうじゃなかったらあいつ、絶対言わなかったと思う」

 その言葉に「ふふ、優斗らしいね」と笑うと、
「あのね、父もかわいそうなのよ。だから、私は大丈夫なの」

「ブルーってとこですか?」

 きょとんとした涼子が、「あぁ」と大笑いする。

「そうそう、まだブルーってかんじなの」

「レッドになったのは、やっぱりお母さんですか?」

「カナちゃんは遠慮ないなぁ」
 と言いつつも、涼子の顔はおだやかだった。