「涼子さん」
 私も声をかける。
「涼子さんのいない通学はさみしかったです」

「・・・ごめんね・・・」

 ついには涼子は箸を置き、嗚咽を出して泣き出した。

 皆も、それを見ながらも箸をしずかに置いた。

「小浜くん」
 ひとりだけ食べ続けながら英美が声をかける。
「こういうときに男がやることはひとつさね、ほら、はやく」

「あ、はいっ」

 小浜が椅子をけって立ち上がると、涼子のもとへ行き、テーブルに突っ伏して泣いている涼子を抱き寄せた。そして、強く強く抱きしめた。

「小浜さん・・・ごめんなさい・・・」

「君が好きだ」

 優斗が「ヒュー」と口笛を吹く。

「これまでも、そしてこれからも君が好きだ。君が僕を好きなのか分からなくっても、僕は君が好きだ。だから、これからも君のそばにいたい」

 本心から言っている言葉なのだろう。その言葉は、誰もの胸をふるわせた。きっと、涼子にも届いたのだろう。

 涼子も小浜の背に手をまわし、力をこめた。