「なにしてるさ、お客様お待たせして。涼子、さっさと座りなさい」

 英美がそちらを見ようともせずに声を出した。

 涼子は、ハッと我に返ったかのようにあわてて席についた。

「あの・・・涼子・・・」
 小浜が向かい側に座った涼子に話しかけようとするが、
「さ、みなさんそろったさ。どんどん食べてさ」
という英美の声にさえぎられ、食事がはじまってしまった。

 私も、どうしてよいのか分からず様子をうかがっていたが、やがて皆が箸をとり、モソモソと食べ始めた。

 涼子もまるで私たちがいないかのように、ジャガイモをほおばっている。

「アネキ、元気そうだな」
 優斗がご飯をほおばりながら涼子に言う。

「・・・うん」

「みんな心配して来たんですよ、あ、私、優ちゃんの同級生の菜穂です」

「・・・うん」

「涼子、こんなところにまで押しかけてごめん、でもどうしても会いたかったんだ」

「・・・うん、うん」

 涼子はおかずを食べながらも泣いていた。
 次から次へと涙がこぼれては、それをぬぐいながら食べ続ける。