車は道沿いにハザードを出して停車している。車内には重苦しい空気がたちこめていた。
「うぐっ・・・うう・・」
泣き声の主は遠田だ。
もうかれこれ1時間も車は市内を走っていたが、同じ景色を何度も見ているなぁ、と思った私が、
「もしかして道に迷ってます?」
と問いかけたところ、車はこの場所に停まり、そして遠田が泣き出したというわけだ。
「私、ほんっとだめなんです。この仕事についたのもはじめは事務職って話だったのに、年末は人がいないからって借り出されちゃって・・・。でも、一生懸命道を覚えてきたはずなのに・・・うう・・・」
「え?事務員さんだったの?」
菜穂が身を乗り出して、遠田をのぞきこむ。
「はい~。でも、私だってがんばってやってるんですよ・・・それなのに、上司は『トロい』とか言ってくるんですよぉ・・・」
「だから、車の運転も・・・」
余計なことを優斗が口にする。
「車の運転下手ですか?うう・・・これでもゴールド免許なのに・・ひどい」
「え?ゴールドなの?」
菜穂と優斗が声をそろえる。この運転でゴールド免許とは信じがたいのだろう。
「うぐっ・・・うう・・」
泣き声の主は遠田だ。
もうかれこれ1時間も車は市内を走っていたが、同じ景色を何度も見ているなぁ、と思った私が、
「もしかして道に迷ってます?」
と問いかけたところ、車はこの場所に停まり、そして遠田が泣き出したというわけだ。
「私、ほんっとだめなんです。この仕事についたのもはじめは事務職って話だったのに、年末は人がいないからって借り出されちゃって・・・。でも、一生懸命道を覚えてきたはずなのに・・・うう・・・」
「え?事務員さんだったの?」
菜穂が身を乗り出して、遠田をのぞきこむ。
「はい~。でも、私だってがんばってやってるんですよ・・・それなのに、上司は『トロい』とか言ってくるんですよぉ・・・」
「だから、車の運転も・・・」
余計なことを優斗が口にする。
「車の運転下手ですか?うう・・・これでもゴールド免許なのに・・ひどい」
「え?ゴールドなの?」
菜穂と優斗が声をそろえる。この運転でゴールド免許とは信じがたいのだろう。