「ん?」
定員が見せてくる指輪をかわしながら振り返ると、菜穂が神妙な顔つきをしている。

「・・・なんかさ、おなか痛い」

 とたんに私はハッとした。これは・・・。

「おなか痛いの?」

「うん、痛いよぉ」

 お腹を両手でおさえて菜穂は苦しそうな表情を見せた。

「大変!小浜さーん、優斗ぉちょっと来て~」

「ん?どうした?」
 優斗と小浜が、何事かと集まってきた。それにくっつくように、両手に真珠やらダイヤを手にした店員も集まってきた。

「菜穂、お腹痛いんだってさ。私つきそって外にいくけどどうする?」

「それって、いつもの・・・」
 つぶやいた優斗のわき腹をひじでつついて、私は再度、
「どうする?」
と聞いた。

 優斗もそれでようやく納得したのか、
「それは大変だ。さっき食ったカニじゃねぇ?俺もつきあうよ。小浜さんも行こうぜ」
といかにも棒読みの大声で言った。