にくいほどに晴れ上がった朝は、寝不足の重い身体をひきずりながらの出発となった。

 玄関を出ると、すでに恵美は婚約者の鈴木と楽しそうに話をしていた。

「あ、カナさんおはようございます」
鈴木が私にきづいて律儀に頭を下げた。鈴木は初めて会った時から私を「カナさん」と呼び、そしてなぜか丁寧な言葉で話をしてくる。恵美によると「誰に対してもそうなのよ」とのことだが、悪い気はしない。

「ほら、早く乗って」
恵美にせかされ、トランクにスーツケースを詰め込むと後ろの座席に乗る。

 人柄がそうであるように、運転も慎重な鈴木の運転で駅の方へと向かう。

「今回は変なお願いしてしまってすみません」
 
 少し前に乗り出して、鈴木に声をかけた。

「いえ、恵美さんから大体のとこは聞きましたけど大変ですね」

 ミラーでこちらをみながら鈴木は微笑んだ。後ろを振り返った恵美が、
「おみやげよろしくね」
とニヤリと笑った。