「明日、いよいよ出発だね」

 最後のお茶を飲んでいると、前の席に恵美が座った。

「うん、なんか急に現実味おびてきた」

「とにかく絶対にバレないようにしなきゃね」

「オネガイシマス」

「明日の準備してんの?」

 その恵美の言葉で、一瞬息がとまるかと思った。そうだ、全然用意してないじゃん。

 あわてて2階へ駆け上り、スーツケースに必要なものを詰め込んでいると、携帯電話がチカチカしているのに気づいた。

 
 【新着メール5件】

 
 なんだろう、と思いメールを見てみると、どれも差出人は恵美だった。

『いつまで寝てるの?ご飯だよー』
『ご飯さめちゃうよ~』

 ・・・どうりで起きなかったわけだ。

 まったく、メールで起こしてたなんて・・・とブツブツ言いながら用意を続ける。