家に帰った私は、ソファでうたたねをしていた恵美をむりやり起こして、自分の部屋へつれていった。

「なによ~、せっかくいい夢みてたのにぃ」
ブツブツ文句を言いながらも、恵美は私のベッドに腰かけると大きなあくびをひとつした。

「あのさ・・・、どっから話せばいいんだろう」
 
 結局、ふたりに押し切られて冬休みになったら札幌に行くことになった私は、頼るのは恵美しかいなかった。いくらなんでも男ふたりと旅行に行くなんて言ったら、両親は卒倒してしまうだろう。特に、父には口が裂けても言えない。そんなことしたら、父の髪が一気に白髪になってしまうかもしれない。

 これは緊急事態だと、私は最近起こったすべてを恵美に話した。

 最初は眠そうにしていた恵美も、涼子がいなくなったというくだりからは、目を見開いて私の言葉をコクンコクンとうなずきながら聞き入っていた。

 札幌に行かなくてはならない理由を話し終わったあとも、しばらくうなずきながら何やら真剣に考えている。