「…嫌」
「夏海」
「碧は麻美さんが大好きで、麻美さんは碧が大好きで、良かった良かったってことよ」
私は苛立った声でそう言った。
なんだかすごく悔しかった。
…なんでこんなこと、言わなくちゃならないんだ。
「…夏海」
「…何」
「良かった?」
「何がよ…」
「…俺が結婚して、良かったと思ってんの?」
思ってる訳ない。
表情で分かるはずなのに、
そんなことをわざと言う。
…私は碧の鳩尾辺りに、パンチを食らわした。
「!…ちょ、お前な…っ」
「…結婚式で美味しいもの食べれるから、まぁ良かったかも」
私は冷静な声でそう言うと、階段を一気に駈け降りた。