…ただの、近所にいた幼なじみ。 嘘つき 嘘つき。 さっき抱き締めたくせに。 さっきキスしたくせに。 複雑な表情をしていたんだろう。 唇をきゅっと噛んだ私に、隣にいた香奈が「…お姉ちゃん?」と顔を向けてきた。 麻美さんは碧の腕にそっと寄り添った。 ちゃんと恋人に見える。 その様子を、しっかり目に焼き付けておこうと思った。 忘れないように。 「碧の隣に居るのは私じゃない」ってこと、忘れないように。