麻美さんは凄く綺麗な人だった。
色が白くて、顔も小さくて、さらさらとした長い黒髪。
何より雰囲気に品がある。
薄い桃色のカーディガンが、よく似合っていた。
この人が碧の婚約者というのは、誰もが納得のいく話だった。
「初めまして」
正直会いたくはなかったけれど、とりあえず挨拶をしない訳にはいかない。
私は碧とは兄妹でもないし親戚ですらない。
幼なじみとはいえ、再会は8年ぶり。
それなのに結婚相手に挨拶をするというのは奇妙な体験だった。
「すっごい美人姉妹だね。碧と仲良しなの?」
「まあな。家が近かったし、年も近かったから」
麻美さんに聞かれて、碧はさらっとそう流した。