沙知絵さんとお茶をしながらゆっくり語るという香奈とは別に、私は二階へ上がらせてもらうことにした。
素直に懐かしい。
階段を上がる感覚さえもいとおしい。
ドアノブに手を掛けると、妙に胸がドキドキした。
――これが、過去へ続く扉だったらいいのに。
ガチャッ、と開けたらあの頃の碧が居たりしないだろうか。
勉強してるところを、思いっきり邪魔しちゃうんだ。
そんなことを思いながらドアを開いた。
だけどその先の光景は、完全に期待とは違った。
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