「あのね。理由もなしに休みの申請なんか出来ないの。しかも1週間も」
「結婚式があるのよ」
「…」
昔っからお母さんの話は、主語述語がメチャクチャ。
ポンとそんなこと言われたって、何がなんだかわからない。
「結婚式って……誰の?」
「アンタの」
「……は!?私の!?」
「違うわよ。アンタの、幼なじみの、桂川碧(かつらがわ・あおい)くん。
…って覚えてる?」
ぽろ…と、ケータイを取り落とした。
あまりに自然な、体の動きだった。
休憩終了、と言いに来たバイト仲間の声も
遥か遠くに聞こえた。
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