「あ、夏海?」
「はいはい」
「アンタ、来週は1週間バイト休み取りなさい」
……は?
1週間?
「へっ!?」と思わず素っ頓狂な声を上げて、ケータイをぎゅっと握り締めた。
無意識に、スピーカーのところに右耳を強く押し当てる。
「は?…何て?」
「だから、バイトを休みなさいって言ってるの」
「なんでよ、無理だってばっ!この時期忙しいんだか…」
―――プツッ
有無を言わさず、電話が切れた。
メチャクチャすぎる。
呆気に取られてる場合じゃないと思い、私はもう一度お母さんに掛け直した。
…ったく、せっかくの休憩だってのに。
「…何よ」
再び不機嫌そうに電話に出たお母さんに、それはこっちの台詞じゃーっ!…と言いたい気持ちを抑え、冷静に聞いてみる。