それは本当に、突然のことだった。 暑い暑い夏の日…バイト先で、買ったばかりのケータイが振動した。 「ナツ、鳴ってるよ。ケータイ」 「うん」 真新しいツルツルのカバーが、赤色の小さな光を放っている。 この色は、着信。 ちょうど休憩時間だったこともあり、私はなんの躊躇いもなく電話を取った。 「…もしもし?お母さん?」 どうせバイト帰りに醤油を買ってこいだとか、そういったしょうもない用事だと思った。 そうだったら、良かったのに。