ぐっと堪え過ぎて変な表情になった麻美を見て、思わず小さく笑った。 「…何よ」 つられて麻美も笑う。 幸せとはこんな形をしているんだとつくづく思った。 ――夏海が俺に、 それを教えに来てくれたんだ。 麻美が思い出したように、部屋についている時計を見上げた。 「そろそろだよね」 「誰か呼びに来るだろ」 「…もう、行く?」 「行きますか」 再び彼女の手を取る。 もう何の迷いもなく、俺の未来はすぐそこにあった。