名前を呼ばれた。
柔らかくて、少し高めで、ふんわりとした声。
――…なんで、似てるなんて思ってたんだ。
そう悔しくなった。
こんなにも違う声を聞き分けられなかった自分が少し情けないぐらいだった。
「麻美…」
振り向くとそこには、ウエディングドレスに身を包んだ彼女が立っていた。
驚いたような、少し不安げな瞳がまっすぐと俺を見つめている。
「戻って…来たんだ」
「戻って来るよ」
「…碧」
俺は何も言わずに、そっと彼女の手を取って指を絡めた。
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