私は「ごめん」と手を合わせてから、地面に置いてあった紙袋を持った。

祐樹が少し切なげな表情で私を見て、ゆっくりと口を開く。



「…本当に、帰んの?」

「帰る。…どうしてもいたくないの。ごめんね」

「もちろん送るけどさ…」


祐樹はなんだかやりきれない表情で、
そんな顔を彼にさせてしまっていることが申し訳なかった。


ありがとう。
そう言う他なかった。



近くのバス停まででいいと言ったけれど、式まではまだ充分時間があるという理由で新幹線の駅まで送ってくれることになった。


例え時間がなくたって、きっと送ってくれると言うだろう。



祐樹は昔からそういう人。
人の本質というのはなかなか変わらない。