式場に戻っていくその後ろ姿を最後まで見届けてから、私は祐樹のケータイに電話を掛ける。
2、3回コール音が鳴ってから「もしもし!?」と急いだ声がした。
ちょっと申し訳なく思いながら、「ちょっと出てきてくれない?」と言った。
「どうなったんだよ?碧は?」
「碧は式場に戻ってるよ」
「なっちゃんは?」
「私は帰るから、祐樹に車を出して欲しくて……あ、香奈とかには言わないで!ややこしいことになるから、そっと出てきて。お願い」
3分もしないうちに、祐樹が走ってきた。
きちんとスーツを着こなしてなかなかのイケメンボーイなのにこき使ってしまって、つくづく申し訳ない。