もう一度繰り返された言葉に、私はこくこくと頷いた。 確かにその通りだと思ったから。 「そう…だね」 「夏海は、俺にとってお姫様だった」 ちょっとはにかんで、そんなことを言う。 碧をぎゅっとしたかった。 その腕に、抱き締めてもらいたかった。 「あの頃、夏海を中心に俺の世界は回ってた。…好きで、大好きで、眩しかった」 私もだよ。 今も本当は、何も変わっていないんだよ。 「夏海にとっての俺はお兄ちゃんだったかもしれないけど」