それは思い込みでも、誰に聞いたでもなく、自然と分かってしまうものだった。 彼も、分かって欲しかったんだと思う。 私はいつも、知らないふりをしてきたから。 嫌いな訳じゃない。 好き。 すごく、大好き。 それでもあの頃の私はまだまだ子供で、碧には「優しいお兄さん」でいて欲しかった。 宿題を見てくれて 困った時には助けてくれて 悲しい時に頭を撫でてくれて 心地よい温度で、甘やかしてくれる。 …まだ、 そんな場所に居たかった。