「いいよ、分かってる。私は結局いつも、二人の中には入れなかった」
「麻美さん…」
私は名前を呼んだけれど、ついに目は合わなかった。
麻美さんはくるっと背を向けた。
「戻ってきても戻ってこなくても、自由にして大丈夫。…大丈夫、だから」
その声は震えている。
あぁ、麻美さんは本当に碧が好きなんだ。
なんだか心から、そう思った。
「…夏海」
今度こそ私は、碧におとなしく付いて行った。
もう私に出来ることは何もない。
そう思ったから。
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