もう迷いはなかった。 私はまっすぐと碧の瞳を見つめた。 「寂しかった。…私と碧だけの世界が、もう無くなっちゃった気がして。麻美さんに嫉妬した」 「…っ」 「…もう、私だけのお兄ちゃんじゃないんだね」 だけど、と言葉を切った。 目に降り掛かった前髪をそっと払って。 軽く息を吸って。 「結婚おめでとう。…幸せになって」