私ではなく碧に真っ先に駆け寄ったお母さんに用はないので、私は香奈に視線を向けた。



「どうしたの?…こんなとこで」

「いやぁ、駅までお母さんを迎えに行こうとしたんだけどさ。あたし達ってバスで来たじゃない?だから新幹線の駅への道って分からなくて」


香奈はぺろっと舌を出して、ちょいちょいと祐樹を指差した。


…そういうことか。



「祐樹くんに一緒に来てもらったの。またあのお店で餡蜜食べさせてくれるっていうし」



私が視線を祐樹に向けると、彼は頼もしくガッツポーズを決めてくれた。



「そりゃ、我等がなっちゃんの妹とお母様だし!責任を持ってご案内させて頂きますよ」