異変は、翌朝起きた。
いつものように顔を洗って学校に行こうとしても、なぜかそれができなかった。
現実の時間と、あたしの中の時間に、ひどいズレがある気がして
結局あたしは玄関を出ることができず、那智の絵の前でぼんやりと過ごした。
そんなことが2日続き、
そして3日目の朝。
玄関でチャイムが鳴った。
……朝っぱらから、誰だろう。
無視してもしつこく鳴り続けるので、あたしは渋々鍵を開けた。
「斗馬くん……」
「バイト、辞めるんだって?」
斗馬くんはリビングのソファに座ると、コーヒーを淹れるあたしの背中にたずねた。
「うん」
やかんのお湯が沸騰して、コトコトとふたが鳴る。