ドアを閉めたとたん、雨の音が遠くなった。



「タオル持ってくる」



そう言って那智が廊下を走っていくのを、うわの空で見ながら

あたしは靴も脱がず玄関でへたりこんだ。



……ついさっきの出来事なのに

もう現実感がない。


メグちゃんは何て言っていたんだっけ。



――『あんたたちに反対してんのは、あたしや斗馬さんだけじゃないから』



あれは、どういう意味。


ひっかかるのに、頭がうまく働かない。


泣きわめくメグちゃんを、那智の代わりに斗馬くんがなだめていた。


「とりあえず今日は帰ろう」と、必死で冷静さを保って。


彼の顔を見る勇気は、あたしにはなかった。



斗馬くん……。