お姉さんがうちのアパートまで送ってくれて、斗馬くんも一緒に車を降りた。
あたしたちは近くの小さな公園で、1時間ほど話した。
「俺さぁ、たぶん藍の弟、前に見たことあると思う。
梅雨の前だったかな。
K高のやつとケンカしてんの、たまたま俺が止めてさ。
そんときのK高生、今日のメンバーの中にいたから間違いねぇと思う」
「そう……」
「なぁ、藍」
「……ん?」
「弟、なんだよな?
あいつはホントに」
「……」
詳しい事情はあえて聞こうとしなかった斗馬くん。
あたしが強くうなずけば、彼は全力であたしを信じようとしてくれただろう。