逃げ出すタイミングを計り、震える膝にぐっと力を入れたとき



「突然すみません。
さっき、あのアパートから出てきましたよね?」



男性が低く抑えた声で言った。



「……え?」




「もしよければ、神木那智くんについてお話を聞かせてもらいたいんですが――」







見開いたあたしの目に映ったのは、細く頼りない光。



夜空をすべり落ちていく
一筋の流れ星だった。









     ――Megu.Aiga