恋人なのかと聞かれたら、胸を張ってうなずく自信はない。
でもあたしが那智の一番近くにいる女の子なのは、間違いないと思う。
いや、物理的には、もっと那智に近い女性が一人だけいるけれど。
その人は那智にとって恋愛の対象にはならない。
きっと、絶対、ならない。
――そう思うことにしている。
夜の10時。
部屋で勉強していたあたしは、まったく進まない問題集に嫌気がさし、ペンを置いた。
開けた窓から空を見上げる。
見事な星空にため息がこぼれて、それと同時に
那智と一緒に見たかったな、と思った。
寝ても覚めても那智ばかり。
けっしてあたし、モテない方じゃないのに。
那智を好きになってから、ずっと片想いのような心境だ。