説得の末、湯川くんは家族のもとに向かい、あたしと斗馬くんのふたりでバイトに出た。
湯川くんの当日欠勤を副店長は怒っていたけれど、斗馬くんがうまく言ってなだめてくれた。
――『会えなくなってから後悔するの、すごく辛いんだよ』
書籍コーナーで本を並べながら、あたしはさっきの自分のセリフを思い出す。
あんな風に言葉にしたのは初めてだった。
“後悔”か……。
そんな単純な言葉じゃ片付けられないほど、あたしの中はグチャグチャだ。
「その本、ここじゃないよ」
不意に肩のうしろから手が伸びてきて、あたしの持っていた本をひょいと奪った。
「あ……」
斗馬くん。