「あの……もう、いいから」


「怒ってねーの?」



頭を下げたまま、チラッとあたしの顔をうかがう田辺くん。


長身の彼に上目づかいされると、なんだか奇妙な気持ちになる。



「うん、全然怒ってないよ。
ただ、その……田辺くん達はああいう雑誌を見るイメージじゃなかったから、ちょっとビックリしただけで」



すると彼は姿勢を戻しながら、「へ?」と目を丸くした。



「ああいう雑誌って、エロ本のこと?」


「あ、うん……」



田辺くんも湯川くんも、今時の男の子だけどすごく爽やかだし。

なんとなく、“エロ”には結びつかない気がする……。



「ちょーっと待った。
さては姫、天然だろ」


「え? なんで?」



田辺くんがブハッと吹き出した。