目の前でふたりが本当に仲良さそうにじゃれ合っている。

それがなんだか嬉しくて、幸せで。

ふたりの方がとってもお似合いなのに。


 


そう思って瞳の端の涙をすくったとき、今まで何ひとつ音のしなかった方向から溜め息が聞こえた。


 


視線を動かせば、腕を組んで呆れ顔の大庭君。

彼の雰囲気に、びくり、背中が震えた。



「いい加減にしないか」


溜め息にも似た言葉が、響く。



「いつまで慣れ合いを続けるつもりだ。無駄話をしている場合じゃない」


一拍、静寂。