「もうね、部屋中戦闘機の模型とか本とか写真ばっかり! しかもマルチロールがなんとかだとか、F-22のステルスがなんたらだとか、トムキャットとかECMとかわっけわかんない!」

「結構言えてんじゃん」

「言えるようにもなるよ、あんな毎日とうとうと語られたらね」


そう言いながらふう、と溜め息をつく仕草が大袈裟に困っている感を表現していた。

それがまた、おかしい。



「でもかっこいいよね、戦闘機。私も結構好きだな」

軽くなってゆく心を嬉しく思いながら口を開くと、今度はふたり一緒にきょとんとした顔になる。


それを見て、そういえばそんなこと誰にも言ったことがなかったな、と気づく。



「もしかして弥八子も結構マニア……?」

「え、違うよ!? ただちょっとゲームとかが好きで、かっこいいなあって思ってて。ほんと、名前ぐらいしかわかんないよ」

「いや、オレ乾がゲーム好きってだけで驚きなんだけど」