「ごめん、なさいっ……」

「うん」

「嘘……ついた……ほんと、うは……違うのっ……」

「うん」


日下さんは手を握ってくれたまま、相槌を打ってくれる。

だからなのか、惑うことなく言葉が零れてゆく。



「本当は……兄に……」

「うん」

「毎晩……殴られたり……蹴られたり……」

「……うん」


握られた手が、ぎゅっと熱を増した。


「それで……痣がっ……」

「うん」



そこまで言うと、肩の上に手が乗せられた。

見なくても、なんとなく誰だかがわかる。