「え……あ、そうか、すまん」

雰囲気に押されたのか、青野君もおずおずと謝罪の意を口にした。

すると日下さんも「あ、ごめんごめん」と笑顔になって明るい口調で言う。



なんとなく、彼女の言動が不思議だった。
嫌な思い出でもあるのだろうか。



「乾、自分の口で答えろ」

そんなふたりのやり取りを黙って見ていた大庭君が、任せておけない、といった雰囲気で口を開く。

また日下さんが大庭君を睨みそうだったので「大丈夫」と私はすぐさま彼女に言った。



「大丈夫、いじめ……とか、そういうのはないよ」

たどたどしくなってしまったけれど、嘘ではない。