再び風が舞う、でももうスカートは気にしない。

緑色のフェンスに手をかけ、つま先を隙間に差し込む。

ゆっくりゆっくり、でも確実に2メートル程あるフェンスをよじ登る。


涙は乾くことなく頬を流れていた。

見えなくなりそうになる目の前をしっかりと見据え、歯を食いしばる。



折り返し地点、半分までフェンスにしがみついて降りて、50センチぐらいの足場に飛び降りた。



ここから向こうは、別世界。


一歩足を踏み出せば、この綺麗な空も、爽やかな部活動の音も、温い風も、全てが意味を失う。


不思議と怖くはない。

むしろどこか嬉しい気持ちすら沸き起こってくる。



もう、苦しい想いとはばいばい出来る。

ここから飛べば、私は自由を手に入れられる。