「大丈夫。何かわかるかもしれないなら……それでいいよ」 みんなに迷惑なんてかけれない。 脱出したいと思うなら、それに私も協力すべきなんだ。 自分のことは、その後なんとでも出来る。 一瞬、教室から呼吸が消えた。 私の声の余韻が、秒針の音にかき消されてゆく。 日下さんの拳が、ぎゅうっと強く握られた。 青野君の頭を掻く手が、ぴたりと止まった。 霧崎君は、微動だにしなかった。