「弥八子!」

「乾、それは原因となりそうなきっかけに思い当たる節がある、ということか」

心配そうに振り返った日下さんの声が跳ねる。

だけど間髪入れずに聞こえた大庭君の声に、思わず身体がびくり、と震えた。



だって、私は死のうとしたから。

そのとき時計を見た時間と、今繰り返される時間が、とても近いと感じているから。



それが“きっかけ”なのでは? と言われたら、違うと私が思っていても首を横には振れない。



どうとも言えず黙って俯いていると、目の前に影が出来た。

顔を上げれば、大庭君と私の間に、霧崎君が立っている。